金沢本万葉集 (7寸1分5厘×8寸9分5厘)       戻る 金沢本万葉集 一覧へ 
万葉集・巻二 具引唐紙 極薄焦茶色『西瓜唐草』第二十五紙(清書用極薄茶色)

極薄茶色(ごくうすちゃいろ) 西瓜唐草(瓜唐草)  

古筆臨書 粘葉本金沢万葉集 料紙 具引唐紙 『西瓜唐草』







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唐紙の柄は

西瓜唐草(瓜唐草)












21.6cmx27.1cm 
日本古典文学会の模本です。西瓜の唐草柄を全面にギラ摺りした具引唐紙のものです。光を当てた状態で中央に見えている程度と為ります。 水色文字は使用字母


  短歌二首

200
 久堅之 天而知流 君故尓、日月毛不知 恋渡鴨 


 ひさかたの あめにしらるる きみゆへに、

 ひつきもしらず こひわたるかも

201
 埴安乃 池之堤之 隠沼乃、去方乎不知 舎人者迷惑 


 うゑやすの いけのつつみの かくれぬの、

 ゆくゑもしらず とねりまどひぬ





  或書反歌一首

202

 哭澤之 神社尓三輪須恵 惟祷祈、我王者 高

 日而知奴


 なくさはの もりにみわすゑ いのれども、

 わがおほきみは たかひしられぬ


   右一首類聚歌林曰、檜隈女王怨
泣澤神

   社
之歌也。案日本紀云十年丙申、秋七月辛

  (丑朔庚戌、後皇子尊薨)


  短歌二首

200
 ひさかた  あめ       ゆゑ
 久方の天知らしぬる君故に、日月も知らず恋渡るかも

 比左可多乃 安女仁之良類々 幾見由部耳、

 飛川支毛之良須 己比和多留可毛


201
 はにやす    つつみ こもりぬ   ゆくへ      とねり
 埴安の池の堤の隠沼の、行方を知らず舎人は惑ふ

 宇恵也寸乃 以計能川々美能 可久礼奴乃、

 由久衛毛之良須 止禰利末止比奴


  或書の反歌一首
100
 なきさは  も り   み わ           おほきみ
 哭澤の神社に神酒すゑこひ祈めど、我王は高日

 知らしぬ


 奈久左者能 毛利仁美和寸衛 以乃礼止无、

 和可於本支美波 多可比之良礼奴

          るいじゅうかりん       ひのくま
   右の一首は類聚歌林に曰く、檜隈女王、
                         
かんが
   泣澤神社を怨むるの歌なり。日本紀を案ふるに
   
いは     ひのえさる      かのと
   曰く、十年丙申、秋七月辛
    
うし さく かのえいぬ    みこのみこと まか
   (丑朔庚戌、後の皇子尊薨りましきと云へり)

 ひさかた   あめ   あま   そら
久堅の;「天」、「天」、「空」にかかる枕詞。

はにやすのいけ         
埴安池;香具山の北西麓に有った池。

なきさは じんじゃ            いざなぎのみこと   いざなみのみこと
泣澤神社;古事記神話で、伊邪那岐命が伊邪那美命の死を嘆いた涙から成ったという神の祭られていると云われる伝説の社。

 るいじゅうかりん    
類聚歌林;山上憶良編の歌集。

さく
朔;太陰暦1日。ついたち、新月。


 


               
拡大図 西瓜唐草(極薄茶色)  
古筆臨書 粘葉本金沢万葉集 料紙 具引唐紙 『西瓜唐草』