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(をちかたの 花もみるべく しらなみの)
ともにや我は たちわたらまし
旅人の道にありて帰雁の雲
をわけたるをみる
47
ねたきこと かへるさならば かりがねを、か
つききつつぞ 我は行かまし
人の家に春花をみる
48
わがやどの ものなりながら さくらはな、ちるを
はえしも とどめずぞありける
をむなすなわちやなぎのしたによりてしじょうをひく
女即倚柳下曳糸条 このことは心得ず
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はなみにも ゆくべきものを あをやぎ
の、いとてにかけて けふはくらしつ
ふぢの家にかかれる
50
みどりなる 松にかかれる ふぢなれど、おの
が心とぞ 花はさきける
延木十五年二月三日、右大弁やす
ただの君の故中衛門の左大殿の
北方のおほむためにたてまつり
たまふ五十賀の屏風歌
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わがやどの まつのこずゑに すむつるは、ちよ
のゆかりと おもふべらなり
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(遠知可堂能 花毛美留部久 志良奈美能)
東毛爾也我盤 太知和多良末之
旅人乃道爾安利天帰雁乃雲
乎和个多類遠美流
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禰多支己止 可部留佐奈良八 可利可禰遠、加
徒支々川々曾 我者行可末之
人乃家爾春花遠美留
48
和可也止乃 毛能奈利那可良 左久良波奈、知流遠
者衣之毛 止々免寸曾安利个留
女即倚柳下曳糸條 己乃己止波心不得
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者那美爾毛 遊久部支毛乃遠 安遠也支
農、以止天爾加計天 計不波久良之都
不知乃家爾閑々礼留
50
美止利奈留 松仁加々礼留 不知奈礼止、於乃
可心止曾 花波左支个留
延木十五年二月三日、右大弁也春
多々乃君能故中衛門乃左大殿乃
北方能於本武多女爾太天万川利
多末不五十賀能屏風歌
51
和可也止乃 末川能己須恵爾 数武川留波、千世
能由可利止 於毛不部良奈里
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