三十六人集(西本願寺本)
 中務集 染紙(浅草)・金銀砂子 清書用臨書用紙 (半懐紙)  戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ


三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 花鳥折枝銀燻銀袷型打 (中務集 )
染紙 浅草色 金銀砂子振り 花鳥折枝金銀袷型打

写真は半懐紙の為、臨書手本よりも一回り大きくなっております。
(本料紙は中務集第四紙の代用品です。花鳥折枝等は実物とは異なります。)


三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 花鳥折枝銀燻銀袷型打 左上部分拡大 (中務集 )   三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 書手本(中務集 )
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 花鳥折枝金銀袷型打部分拡大(左上側部分)写真がボケておりますお許しください。  
 
三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 花鳥折枝銀燻銀袷型打 右下部分拡大 (中務集 )
 
 花鳥折枝銀燻銀袷型打部分拡大(右下側部分)写真がボケておりますお許しください。  


臨書手本

三十六人集 染紙 『金銀砂子振』 書手本拡大 (中務集 )  使用字母
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 中務集 染紙 金銀砂子  書手本 第二十紙 縦6寸7分、横1尺5分5厘      使用字母及び解説へ
 光の反射で文字が見辛くなっている箇所が有りますが、ご了承ください。


歌番号は中務集での通し番号                    青色文字は使用字母

   返事
214

 このはるを のぶるこころの はじめまで、

 ちよふるまでは おもふやはきみ


   人にかはりてあるをむなにみつ明の少将
215
 いかがせむ たえまかちなる いはしみづ、
 たのみわたらむ ことのかたさよ


   返事
216
 かづらきの つらきくめちの いはばしの、
 そなたもたゆる こころとぞきく


   又かへし
217
 たえまなく わたさましかは かづらきの、
 かみもとけてぞ 我たのままし


   人にかはりて
218
 おどろかで あらましものを みもはてぬ、
 ひるまのゆめの こひしかるらむ


   またひとのれうに
219
 まつほどの とほたうみこそ わびしけれ、
 なこそのせきに いまはさはらじ


   雨ふる夜人々なぞ、ものなどいひてねぬる
                     を




214
 己能者留遠 乃不類己々呂能 者之女末天、

 知與不留末天波 於毛不也波幾見



    
人爾可者利天安留遠武那爾美川明能少将
215
 以可々世无 多衣末可知那留 以者之美徒、
 多能見和多良武 己止乃可多佐與


    返事
216

 可川良幾能 川良幾久女知乃 以者々之能、
 曾奈多毛多遊留 己々呂止曾幾久


    又可部之
217
 多衣末那久 和多佐末之可波 可川良幾能、
 可美毛止計天所 我多能末々之


    人耳可者利弖
218
 於止呂可天 安良末之毛乃遠 美毛者天奴、
 比留万能遊女乃 己飛之可留良无


   末多比止乃禮宇爾
219
 末徒本止乃 止本多宇美己所 和飛之計禮、
 奈己曾能世幾爾 以末波左者良之



    雨不留夜人々奈所、毛能奈止以比天禰奴留
                              遠


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「禮」は「」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。
「个」は「介」とすることも。

「與」は「与」とすることも。


214
(2月10日の宵の月が赤々と照っていたので、遅くまで起きていた時)この春の出来事をあれこれとしゃべろうとしていると、こおの奥底で気づいた。
(「下に通はぬ」は心の奥底に通じる思いとを掛けている)


215
如何したら良いものか、時々絶え間がちになってしまう石清水よ、(何時までも水を絶やさないで欲しいと)末永く頼りに思う事の難しい事よ。


216
葛城山の険しく辛い処で視線の届く範囲にある岩橋の(成就しなった例えの様に)、貴方様もきっと続け難くなってしまう様な心持であるとの御噂ですよ。

かづらきのかみ                            ひとことぬし         えんのぎょうじゃ               きんぶせん
葛城の神;奈良盆地の西端に在る葛城山に棲むという一言主の神の異称。役行者の命により葛城山と吉野の金峰山との間に岩橋を架けようとしたが、容貌が醜いのを恥じて、夜間しか工事をしなかった為完成しなかったと伝えられる。これにより、恋や物事の成就しない例えに引き合いにされる。
 め ぢ
 
目路;視線の届く範囲。視界。


217
絶え間なく何時まででも(恋の架け橋を)渡していようとは思っておりますが、葛城の神でも成就しないのですから、叶わぬ事とは思いながらもこうして頼んでみようと思うのですよ。

218
驚かないで事実に反することを想像して、こうであったらと願望する気持ちを察して願うのに、(その希望が)実現しないのなら昼間の夢のなんと恋しいことか。

れう
     せ い  わ け
料;ため。所為。理由。

219
待っている時の遠江ほど物悲しいものはない、勿来の関(関所に来る勿れ)には今は(差し障りがないように)触れなこととしましょう。

とほたうみ                         ちかつあはうみ
遠江;遠州。今の静岡県西部、浜名湖付近。(「近つ淡海」=都に近い淡水湖である琵琶湖に対し、「遠つ淡海」=都から遠い湖である浜名湖のことで、そこの国名)。「遠つ淡海」が縮まり「とほつあふみ」、更に「とほたうみ」となったもの。

なこそのせき                                                  ここづら
勿来関;常陸の国と陸奥の国との国境に設けられていた古代の関所。歌枕。福島県いわき市勿来町九面辺りではないかとされているが不詳。




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中務;平安中期の歌人で三十六歌仙の一人。古今和歌集を勅撰したことで知られる醍醐天皇の皇弟で中務省長官、中務卿敦慶親王の王女。家集は『中務集』、天暦・天徳歌合せの作者。母はやはり三十六歌仙の一人、伊勢。

てんとくうたあわせ
天徳歌合;天徳四年三月三十日宮中清涼殿で催された歌合であり、12題20番を採った。これ以後の歌合の規範となり、天徳四年内裏歌合とも称された。


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