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重之集  ギラ引唐紙『七宝紋』 (清書用臨書用紙)

重之集 ギラ引唐紙 『七宝紋』 花鳥折枝金銀袷絵
ギラ引唐紙 薄茶『七宝紋』 花鳥折枝金銀袷型打 (半懐紙)


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 七宝紋右下側部分 ギラ引唐紙 薄茶 花鳥折枝金銀袷型打
七宝紋とは隣合う輪違の紋が斜め方向に繋がり、七宝繋ぎに似るから言うもの。
本来の七宝は、金・銀・瑠璃・玻璃(水晶)・しゃこ・珊瑚・瑪瑙。
 重之集 書

重之集 ギラ引唐紙 『七宝紋』 花鳥折枝金銀袷絵 拡大 
花鳥折枝金銀袷型打

柄を見やすくしたもの
 
七宝紋左上側部分 ギラ引唐紙 薄茶 花鳥折枝金銀袷型打
枝松・柳・紅葉・桜草・千鳥など
 
 


重之集 具引唐紙 『七宝紋』 拡大 
参考(具引唐紙)

花鳥折枝金銀袷型打

柄を見やすくしたもの
 
 具引唐紙での花鳥折枝の見え方
七宝柄は光を反射しやや白っぽくに見えます。

金銀袷型打も淡い光の為やや鈍い色合いです。
 


重之集 書手本

重之集 ギラ引唐紙 『七宝紋』 書 拡大   使用字母
及び解説
 重之集 書 縦6寸7分、横1尺5分5厘 ギラ引唐紙『七宝紋』白雲母 第七紙
 

歌番号は重之集での通し番号              青色文字は使用字母

53
 ふゆごもり つゐにあひみす なりはては、ゆき
 ふりにきと 人にかたらん


   むまのすけにてはりまへくだるに
   あしかのうらにてよるくらきにちどり
   なきておきのかたにいでぬ

54
 しらなみに はねうちかはし はまちどり、かな
 しき物は よるのひとこゑ
55
 いなびのに むらむらたてる かしはぎの、はひ
 ろになれる なつはきにけり
56
 むらさめに 立かくれせしか きしはぎの、あを
 ばになつは あつまりにけり


   ひうがのくににことひきのまつあり、えだ
   になみのよするを
57
 しらなみの よりくるいとを をにすげて、かぜにし
 らふる ことひきのまつ


   つくしにてをんなにあひてあか月がた
   にいひやる
58
 なにごとの けさはうれしき 我なれや、
 
(なみだはわかぬ ものにざりける)



53
 不由己毛利 徒為爾安比美春 奈利者天者、由支
 不利爾支止 人爾可太良无


   武末乃春計爾天者利末部久太留爾
   安之可乃宇良爾天與留久良支仁知止利
   奈支天於支乃可太爾以天奴

54
 志良奈三爾 者年宇遅可者之 者末遅止利、可那
 之支物者 與留乃比止己恵
55
 以奈日乃爾 武良〜太天留 可之者幾能、八比
 呂爾奈礼留 奈川者支二个里
56
 武良左女爾 立可久禮世之可 支之者支能、安遠
 者爾奈川者 安川末利爾計利


   比宇可乃久爾々己止比支乃万川安利、衣太
   耳奈三乃與寸ル遠
57
 志良奈三能 與利久留以止遠 々爾寸希天、可世仁之
 良不留 己止比支乃万徒



   川久之爾天遠无那爾安比天安可月可太
   爾以比也留
58
 奈爾己止乃 希左波宇連之支 我奈礼也、
 
(那三太者和可奴 毛乃爾左利計類)


「爾」は「尓」とすることも。
「與」は「与」とすることも。
「个」は「介」とすることも。
「礼」は「禮」とすることも。


( )黄色文字は次項にあり

う し
大人;一帯を領有して、支配する人の称。また貴人の尊称。又は、師匠・学者などの尊称。

53
冬ごもりをするにあたって、とうとう(愛しい人と)対面したのだけれどもその成りの果ては、(私の心にも)雪が降ってしまう事になってしまいましたよ。と人に語っているのだろうね。

 むまのすけ  めりょう  うまりょう   さまりょう       う ま
馬の助;馬寮(右馬寮・左馬寮)の次官。右馬の助を「みぎのむまのすけ」とも。

あしかの浦;明石の浦の間違いか。

54
(遠くの沖の潟で)白波に羽を互いに交差しながら戯れている浜千鳥よ、身に染みて愛おしく思われる物は、夜に響き渡る一声ですよ。(我が身とリンクして思われて仕方ないですね。)

55
稲日野の浜にあちこちに疎らに生えている柏木の葉が広がって旺盛に生育することのできる夏がやって来ましたよ。

 いなびの
稲日野;現在の兵庫県高砂市の一部から加古川市、明石市にかけての海沿いの平野。印南野とも。

かしはぎ                                         ひゃうゑ    ゑもん
柏木;柏の木。その葉には葉守の神が宿るという伝説があり、皇居守衛の「兵衛」や「衛門」の異称となる。

56
どしゃぶりのにわか雨に隠れてしまったのか、岸の萩の(萌え出たばかりの初々しい)青葉にも(この後きっと)夏(の光)は集まって来るでしょうよ。(新任の地での不安な心持を払拭する為の歌か)


琴弾の松;松葉(枝)の間を吹き抜ける風の音を琴の音色に喩えた表現。琴弾草とも。

57
打ち寄せて来る白波の様子を白糸に喩えて、それを緒(琴の弦)に挿げて風で奏でる琴弾の松てあることよ。

明月方;暁方。夜明け前のまだ暗い頃の時間。未明。

58
どんなことがあって今朝はウキウキしている私がいるのだろうか、涙なんてのは沸いて来ないものだったのだなあ。


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みなもとのしげゆき
                                                            とうぐうぼう とねりのつかさ
源重之;平安中期の歌人で、左馬助・相模権守を歴任、三十六人歌仙の一人として旅の歌を好んで残している。春宮坊の舎人監の役人の筆頭者として、皇太子の護衛に当たっていた時、後の冷泉天皇となる皇太子に奉った百種は、現存する最古の百種歌となっている。生年及び没年不詳。〜1000年頃と考えられている。


                                                                     
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