和泉式部続集切(続集下巻)(6寸8分×3寸7分)
素色料紙(未晒しの楮色)が使われております。
当然滲み止め加工はしてあり、薄茶色は経年変化によるもの。
素色(しろいろ)
第三十四紙(一葉) 素色(白色) |
清書用 臨書用紙 素色(白色) 25.0cmx36.4cm 宝唐草 解説及び使用字母へ 20.6cmx11.2cm |
続集下巻 乙類 断簡31 歌75(1324) 歌76(1325)。 |
( )内の歌番号は、岩波文庫本和泉式部集による通し番号 |
かな 水色文字は使用時母 解釈(現代語訳)へ
1324 ばかり かく許 うきをしのびて ながらへば,これより おもふ まさる ものもこそ思 よのなかのはかなき事などよひとよ、いひ あかしていぬる人に 1325 ゆく おきて行 人はつゆにも あらねども,けさはな ごりの そでもかはかす をさなきこのあるをみて我にせんと |
1324 可久許 宇幾遠之乃悲弖 奈可良邊波、古禮与利 末佐留 毛能母己曾思 夜乃奈可乃波可奈幾事奈止夜比止与、以比 安可之天以奴留人爾 1325 於幾弖行 人盤徒由爾毛 阿良年登裳,个佐盤那 己利乃 所天毛可波可寸 遠佐奈起己乃安留乎美弖我爾世无止 |
歌番号は岩波文庫本和泉式部集による通し番号 救世熱海美術館蔵 |
「爾」は「尓」とすることもあり。 「弖」は「天」とすることもあり。 「与」は「與」とすることもあり。 ページ ![]() |
現代語訳 解釈 解説及び使用字母へ |
1324 「斯く許り憂きを忍びて永らへば、これより勝る物もこそ思う」 これ程までに気の進まない事に耐え忍んで生きながらへば、これより勝るものもあるとさへ思われますよ。 世の中の儚い事など一晩中言い続けて 夜を明かして帰って行った人に、 1325 「おきて行く人は露にはあらねども、今朝は名残の袖も乾かず」 起きて行く人は露では有りませんけれども、今朝は名残の袖も乾いておりませんことよ。 幼い子供がいるのを見て自分のものにしようと、 |
1324 (これ程までに気の進まない事に耐え忍びながら生きながらへているので、これよりもきっと良い事もあるはずよ!とさへ頭の奥の方で考えさせられてきますよ。) かくばかり 斯く許り;これほどまでに。こんなにも。 言ひ明かす;言い続けて夜を明かす。 1325 (私を置いて起きて出て行く人は空から置いた露では有りませんけれども、今朝は別れの辛さで露が降りた様に涙に濡れて湿った袖も乾いておりませんことよ。)との意。 おきて;「起きて」と「置きて」との掛詞。 |
よひとよ 夜一夜;一晩中。夜通し。 す 1325参考 打消しの意の助動詞「ず」をサ行変格活用の動詞「為」と取れば 「おきて行く人は露にはあらねども、今朝は名残の袖も乾かす」 (私を置いて起きて去って行った人は空から置いた露じゃあないれども、今朝こそは露が降りたような名残の袖も頑張って乾かすぞ!。)との意とも取れる。 なごりのそで 名残の袖;今まで行動を共にしていた人が名残を惜しんできっぱりと分かれる袖。 参考 袖を分かつ;共に行動していた人と別れる。これまでの関係を終らせる。名残を惜しむ気持ちが有るかどうかは曖昧。 袂を分かつ;人との縁を切る。決別する。絶交する。離婚する。離別する。などの意で、そこに名残を惜しむ気持ちは極少ない。 ページ ![]() |
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