和泉式部続集切(続集上巻)(6寸8分×4寸7分)
染紙料紙らしき料紙が使われております。
当然滲み止め加工はしてあり、未晒しの楮色よりも赤茶味の強い為、経年変化を考慮しても黄茶~赤茶に染めたものと思われる。
茶色(薄黄茶色)
第九紙(一葉) 茶色(薄黄茶色) |
清書用 臨書用紙 茶色(薄柿茶色) 25.0cmx36.4cm 宝唐草 解説及び使用字母へ 右半葉 20.6cmx12.6cm |
続集上巻 甲類 断簡9 歌23(996) 歌24(997) 歌25(998)。 |
( )内の歌番号は、岩波文庫本和泉式部集による通し番号 |
かな 水色文字は使用時母 解釈(現代語訳)へ
996 むめのかを きみによそへて みるほどに,はなの をりしる みにもあるかな 997 たをれども なにものおもひも なぐさまず,花も こころの みなしなりけり 二月つごもりがたに 998 たれにかは をりてもみせん むめの花,なかなか く 櫻 さきぬときかすな |
996 武女乃可遠 幾見爾与曾部弖 見留保止爾,者奈乃 遠利之流 見爾无安留可那 997 多遠礼止无 奈爾毛乃於毛比毛 奈久佐万寸,花无 己々呂乃 美奈之奈里个利 二月徒己毛利可多爾 998 ~ 多礼爾可波 遠利弖毛見世无 々女乃花,奈可々々 久 櫻 左支奴止幾可須奈 |
歌番号は岩波文庫本和泉式部集による通し番号 |
「奴」は書き間違い、右に「久」の文字。 歌998の「无」は次に「む」がきているので「む」とすべき かもしれないが、「ん」の方がニュアンスが伝わるので「ん」とした。 「爾」は「尓」とすることも。 「弖」は「天」とすることも。 「个」は「介」とすることも。 ページ ![]() |
現代語訳 解釈 解説及び使用字母へ |
996 「梅の香を君に装へて見る程に、花の折知る身にも有るかな」 梅の香りを貴方に薫付けて見る程に、花の季節を良くわきまえているお姿にも見受けられますねえ。 997 「手折れども何物思ひも慰まず、花も心の見做しなりけり」 手折ったところでどんなに思い悩んでも慰みませんよ、花の色の様に移ろい易い心と見做されるものであったなあ。 二月の下旬頃に 998 「誰にかは折りてもみせん梅の花、中々櫻咲きくと聞かすな」 誰かに折って見せましょうか梅の花を、なまじっか桜の花が咲き始めると聞かすなよ。 |
996 たきつけ (梅の香りを貴方の着物に薫付けて見れば見る程、どなたと比べても花の季節を程良く熟知しているお姿に見て取れますよ。)との意。梅の絵柄を描いた着物に梅の香りを付けて装った姿を詠んだ よそふ;「装ふ」と「比ふ」との掛詞。 997 (ある思い人を自分の物としようとしたところで、どんなに思い悩んでも気晴らしにすらなりませんねえ、移ろい易い心なだけに浮気癖のある人だと見なされるものであったよなあ。)との意。 た を 手折る;花などを手で折取る。比喩的にある女性を自分の物とする。 998 (誰かに折取って見せましょうか梅の花を、くれぐれも桜の花が咲き始めるとは聞かさない方が宜しいですからね。)との意。梅ヶ枝の価値がなくなりますからね。 中々;中途半端な様。どっちつかず。なまじっかだ。 |
何物思ひ;色々と思い悩むこと。あれこれと物思いに耽る様子。 ページ ![]() |
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