楮雁皮(厚口)   全懐紙横継2枚サイズ(3尺3寸×1尺2寸)       戻る 支倉料紙一覧へ 
  『野っ原』(葛野)
慶長遣欧使節団に持たせた書状の料紙を再現したものです。伊達政宗が、交易契約の成功を願って、支倉常長に託した書簡の料紙です。書状としては豪華絢爛で、かなり大きな物でした!。
原紙は国産楮、雁皮混合の手漉き和紙を使用しております。200年は持つ事を想定して作った物ですが、保存状態さえ好ければ、多分千年は持たせることが可能と思われます。
題材の白銀の花は葛をモチーフにした物で、萩や豌豆と同じマメ科の植物です。葛は可憐というよりは力強い野草ですが、花穂だけを見ると観賞にも堪え得る紫花のものが多くなります。葛といえば日本各地の荒野でよく見かける雑草です。が、葛は雑草と侮る無かれ、古来より生活に密着しております。秋の七草の一つであり、葛湯・葛餅をはじめ、生薬の葛根(葛根湯と言う名は聞いた事が有ると思います)、餡かけ料理の葛餡として、また蔓を利用した葛布などに利用され馴染の広い物でした。

ところで、葛の語源をご存知でしょうか?。
大和の国吉野の山奥に国栖(くず)と言う村が在ったそうですが、周りの村とは交わりを控え、奈良・平安の時代より宮中の節会に参加するのが恒例に為っていたそうで、歌や笛やらを披露ていたそうです。果してどんな歌だったのでしょうか。この地方でも大量のクズを産することから、この野草を葛と呼ぶ様になったとされております。
又吉野の葛は良質のでんぷんを含むことでも有名です。料紙の糊としても利用しております。

淡いベージュの地肌に、薄めの利休白茶で天地のボカシを入れて秋の野を表し、金銀のノゲや、長切箔を配して枯れ草を表現しております。豪華さと力強さと、荒々しさを表し、しかも華やかさまで秘めている料紙であります。
野原の中で、すっくと立った葛の花穂は遠めに見てもよく目立ち、さながら幟旗の様にも見えます。或いは大量旗を意識した物でしょうか?。
伊達政宗は如何してこの料紙を書状に選んだのでしょうか?。其々が藩の大将に成った積りで考えてみるのも面白いですね。
枯野原 兵共が 夢の痕 ・・・。
葛は葛で、吾此処に在りと存在感を見せ付けているのかも知れません。

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慶長遣欧使節団書状料紙 (1.2尺×3.3尺) レプリカ
葛野原1 天地に大量の金銀切箔を鏤めて豪華さと奥行きを表し、中央辺りに切箔を少なくして比較的書を載せやすくしてあります。その中央辺りに花穂がリズミカルに配置され、更にそれを取り巻く様に淡い緑で葉が描かれております。勿論、金銀切箔ノゲ・銀泥の上にも墨が乗るように加工しております。           長切箔(慶長遣欧使節団書状より)  

楮雁皮 全懐紙2丁 天地特殊ボカシ 金銀中小切箔砂子ノゲ長切箔振り 資料館参考価格 1枚 13,200円

遣欧使節団書状料紙 葛花と葉部分拡大 ベージュ系 『枯野原』 見え隠れする葛の花と葉
葛・花葉部分 
くすんだ淡い緑色で薄っすらと葛葉を描てるのがお判り頂けますでしょうか。
葛の花穂を銀泥で描いております。庭藤や萩も同じような花穂を持っています。
右端中央部分拡大 
切箔ノゲの中に見え隠れするように葛の葉を配して、
枯野に絡む葛を表現してみました。



遣欧使節団書状料紙 金銀切箔砂子部分拡大 ベージュ系 『枯野原』 銀ノゲ・金長切箔部分拡大
中央上部分   金銀中小切箔を密に落とし、
        粗密で奥行きをを表現しています。
 下地にはやはり、葛の葉と花を、見え隠れするように配しております。
右下部分 散らされた金長切箔 - 風に倒れた茎でも表現しているのでしょうか?

全懐紙別柄タイプ

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野っ原1 枯野原 野っ原 野っ原

全懐紙2丁別柄タイプ
                                                                                                     

慶長遣欧使節団書状料紙 (1.2尺×3.3尺) 慶長遣欧使節団書状 (1.2尺×3.3尺)
慶長遣欧使節団書状料紙 慶長遣欧使節団書状