三十六人集選集 素性集 破り継 『上下隅斜目(二重唐草』)(屏風恵爾由幾) (清書用臨書用紙)   戻る 『三十六人集』 粘葉本 一覧へ

素性集料紙の第八紙裏面、及び第九紙裏面部分を一枚にした半懐紙破り継料紙になります。第九紙料紙(破り継料紙)には墨入れが無いため、八紙・九紙裏面料紙を九枚目としております。左上斜めに朽葉色系に群青・赤茶を織り交ぜた五枚の紙片を継いで一ヶ所の破り継を施し、右下側隅部分には枯葉色(本来この部分は重ね継ですが、便宜上破り継としております)と縹色の紙片で破り継をしてあります。中央部分の台紙には白色の具引唐紙『二重唐草(重ね唐草)』、左上側の小さな部分には白色の具引紙(表面の本来の第九紙のこの部分は白色の具引唐紙『鯱波』です)を配した装飾料紙になります。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷型打で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。第五紙用装飾料紙

装飾料紙 三十六人集 素性集(第六紙) 重ね継 『中央に縦羅紋』 半懐紙 拡大へ 装飾料紙 三十六人集 素性集(第五紙) 破り継 『左下斜目(夾竹桃)』 半懐紙 拡大へ 装飾料紙 三十六人集 素性集(第四紙) 破り継 『秋草に蜻蛉』 半懐紙 拡大へ 装飾料紙 三十六人集 素性集(第三紙) 重ね継 『以曾能神』(大曲羅紋) 半懐紙 拡大へ 装飾料紙 三十六人集 素性集(第二紙) 重ね継 『釣舟』 半懐紙 拡大へ 装飾料紙 三十六人集 素性集(第一紙) 破り継 『西瓜』 半懐紙 拡大へ
素性集(第六紙)
重ね継『羅紋』
 
素性集(第五紙)
破り継『左下斜目』
 
 素性集(第四紙)
破り継『秋草に蜻蛉』
 素性集(第三紙)
重ね継『大曲羅紋』
素性集(第二紙)
重ね継『釣舟』
 
素性集(第一紙)
破り継『西瓜』
 
  装飾料紙 三十六人集 素性集(第八・九紙裏) 破り継 『上下隅斜目』 半懐紙 拡大へ 装飾料紙 三十六人集 素性集(第三紙) 重ね継(羅紋) 『西瓜』 半懐紙 拡大へ 装飾料紙 三十六人集 素性集 具引唐紙 『水辺の鳥』 半懐紙 拡大へ

  素性集(第八・九紙裏)
破り継『上下隅斜目』
素性集(第八紙)
重ね継『西瓜』

素性集(第七紙)
具引唐紙『水辺の鳥』
 
 装飾料紙 半懐紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 半懐紙 部分拡大へ

三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪)  書手本へ
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 素性集・破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 花鳥折枝銀燻銀袷型打
左上斜めに朽葉色系の五枚の紙片を継いで一ヶ所の破り継を施し、右下側部分には枯葉色と縹色の紙片で破り継を施しております。中央に白色の具引唐紙『二重唐草』、左上側の小さな部分には白色の具引紙を配した装飾料紙になります。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷型打で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。
装飾料紙
臨書用紙 半懐紙
 
 装飾料紙 右上側部分三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 右上側部分拡大 装飾料紙 右上側部分


三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本 右上側部分拡大へ
書手本 右上側部分へ
 
 右上側部分 素性集・破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 花鳥折枝銀燻銀袷型打
この部分はほぼ白色台紙のみで、台紙の柄は淡い白雲母摺の『二重唐草(重ね唐草)』の唐紙料紙です。第九紙の柄と同じ柄で、唐草の先端に色々な形をした実が描かれております。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷型打で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。(千鳥・紅葉)
装飾料紙
臨書用紙 半懐紙
 
 装飾料紙 右下側部分三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 右下側部分拡大  装飾料紙 右下側部分


三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本 右下側部分拡大へ
書手本 右下側部分へ
 右下側部分 素性集・破り継 『上下隅斜目(二重唐草) 花鳥折枝銀燻銀袷型打
上側部分の台紙の柄は淡い白雲母摺の『二重唐草』の唐紙料紙です。この部分の破り継は第八紙の裏面ですので、左下側の破り継部分は縹色(灰青色)の紙片が用いられ、その右上側には枯葉色(黄色味の薄茶色・第八紙表面は重ね継部分です)の紙片で破り継が施されております。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷型打で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。(千鳥・紅葉・蝶々)
装飾料紙
臨書用紙 半懐紙
 
 装飾料紙 左上側部分三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 左上側部分拡大 装飾料紙 左上側部分


三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本 左上側部分拡大へ
書手本 左上側部分へ
 
 左上側部分 素性集・破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 花鳥折枝銀燻銀袷型打
左下側の継紙部分は朽葉色の破り継です。その右上側には小豆色(赤茶)、その上に渋い群青色、その右側に砂色(淡い灰黄色)、右上隅には柴色(ふしいろと読み、灰色味の強い茶色)で破り継が施されております。右下側の台紙部分には白雲母で『二重唐草』が摺り出されております。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷型打で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。(蝶々・千鳥・紅葉)
装飾料紙
臨書用紙 半懐紙
 
 装飾料紙 左下側部分三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 左下側部分拡大  装飾料紙 左下側部分


三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本 左下側部分拡大へ
書手本 左下側部分へ

←ここら辺の右側に柳の枝
 
 左下側部分 素性集・破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 花鳥折枝銀燻銀袷型打
左上隅の継紙部分は朽葉色の破り継、右下隅は縹色の破り継です。中央の台紙部分には白雲母で『二重唐草』が摺り出されております。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷型打で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。(紅葉・千鳥・蝶々)
装飾料紙
臨書用紙 半懐紙
 
 書手本 右上側部分(第八紙裏面)三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本 右上側部分拡大 書手本 右上側部分


三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 右上側部分拡大へ
臨書用紙 右上側部分へ

 
 右上側部分 書手本 素性集・破り継 『上下隅斜目(屏風恵爾由幾)』 花鳥折枝銀燻銀袷型打
この部分は白色台紙のみで、台紙の柄はほぼ見えておりません。写真では雲母摺りの柄がほぼ見えておりませんので、銀泥描きの花鳥折枝が目立っております。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷絵で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。(千鳥・紅葉)
装飾料紙
書手本 6寸7分×1尺5分
 
 書手本 右下側部分(第八紙裏面)三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本 右下側部分拡大 書手本 右下側部分


三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 右下側部分拡大へ
臨書用紙 右下側部分へ
 
 右下側部分 書手本 素性集・破り継 『上下隅斜目(屏風恵爾由幾)』 花鳥折枝銀燻銀袷型打
上側部分の台紙の柄はほぼ見えておりません。左下側の破り継部分は縹色(灰青色)の紙片が右上側には枯葉色の紙片が用いられております。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷絵で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。(千鳥・紅葉・蝶々)
装飾料紙
書手本 6寸7分×1尺5分
 
 書手本 左上側部分(第九紙裏面)三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本 左上側部分拡大  書手本 左上側部分


三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 左上側部分拡大へ
臨書用紙 左上側部分へ
 左上側部分 書手本 素性集・破り継 『上下隅斜目(屏風恵爾由幾)』 花鳥折枝銀燻銀袷型打
左下側の継紙部分は朽葉色の破り継です。その右上側には小豆色(赤茶)、その上に渋い群青色、その右側に砂色(淡い灰黄色)、右上隅には柴色(ふしいろと読み、灰色味の強い茶色)で破り継が施されております。左上側の台紙部分には柄が見え辛いですが『鯱波』が辛うじて見えております。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷絵で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。(蝶々・千鳥・紅葉)
装飾料紙
書手本 6寸7分×1尺5分
 
 書手本 左下側部分(第九紙裏面)三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本 左下側部分拡大  書手本 左下側部分


三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 左下側部分拡大へ
臨書用紙 左下側部分へ
 左下側部分 書手本 素性集・破り継 『上下隅斜目(屏風恵爾由幾)』 花鳥折枝銀燻銀袷絵
左上隅の継紙部分は朽葉色の破り継、右下隅は縹色の破り継です。中央の台紙部分には柄が見えておりません。
花鳥折枝は銀と燻銀の袷型打で、三十六人集中の通常の料紙よりも細やかな柄となっております。(紅葉・千鳥・蝶々)
装飾料紙
書手本 6寸7分×1尺5分
 


素性集 台紙の柄は二重唐草
三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 部分拡大
 三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本へ
書手本拡大へ

素性集・破り継 『上下隅斜目(屏風恵爾由幾)』 部分拡大
台紙の柄は白雲母摺の『二重唐草』 花鳥折枝金銀袷型打
  
装飾料紙
臨書用紙 半懐紙
 
素性集・破り継 右下側部分拡大 三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 臨書用紙 部分拡大  右下側部分拡大
 素性集・破り継 『上下隅斜目(屏風恵爾由幾)』 
左上側の台紙の柄は白雲母摺の『二重唐草』、金銀砂子の輝く様子です。破り継部分に見える格子目は布目入の跡です・
 
装飾料紙
臨書用紙 半懐紙
 


三十六人集 素性集 装飾料紙 破り継 『上下隅斜目(二重唐草)』 第八・九紙裏(屏風絵に雪) 書手本 解説・使用字母へ 
 素性集・破り継『上下隅斜目(屏風恵爾由幾)』 書手本 縦6寸7分、横1尺4分5厘 第八紙・九紙裏面


歌番号は素性集での通し番号                       青色文字は
使用字母      解説・現代語訳へ

 
  屏風ゑにゆきふれると
   こころあり
63
 しらゆきと みはふりぬれど

 あたらしき はるにあふ
 こそ うれしかり
        けれ

64
 春とのみ かぞへこし
  まに ひとともに おいそし
 にける きしのひめまつ


65
 秋風の はまのしら
   きくは はなのさ
      けるかなみ
     のよするか




   屏風恵爾由幾不礼留止
   己々呂安利
63
 之良由幾止 美波不利奴礼止
  安多良之支 波留仁安不
 己所 有礼之可利
        遣礼


64
 春止能三 加曾部己之
  万仁 飛止々毛仁 於以曾志
 耳計留 幾之能飛女万川


65
 秋風乃 波万能之良
   幾久波 者那乃左
      計留可 那見
     能與須留可



 

「禮」は「礼」とすることも。
「爾」は「尓」とすることも。
「與」は「与」とすることも。
「弖」は「天」とすることも。
茶字は前項に有り。



               現代語訳                                解説                 解説・使用字母へ



   屏風絵の中に雪の降っている所が描かれており
   風情ある様子で趣が有ったので


63
「白雪と身は降りぬれど新しき 春に逢ふこそ嬉しかりけれ」
白雪が降ったかのように身体は年老いてしまったけれども、だからこそ新たな春に出会えるのだと嬉しかったものだなあ。


64
「春とのみ数へ来し間に日と共に 老いぞしにける岸の姫松」
春をとばかリ数えて暮らしていた間に、月日と共に年老いてしまったよ。岸にある立派な松の様に。


65
「秋風の浜の白菊は 花の咲けるか波の寄するか」
吹上の浜の白菊は花は咲いているのか、波が寄せているだけなのだろうか。





63
(白雪が降ったかのように髪の毛は真っ白で、私の身体は年老いてしまったけれども、冬と云う季節が有るからこそ新しい春に出会えるんだと、本当にわくわくしたものだったなあ。)との意。

ふり;「降り」と「経り」との掛詞。

かりけれ;…だったなあ。…であることから以前のことが思い出されるなあ。「かり」は形容詞と過去の意の助動詞「けり」を接続する為のカリ活用の活用語尾。ある事実を基に過去を回想する意を表す。

64
(春は未だかとばかリ、ずっと数えながら暮らしていた内に、日々を過ごす年月と共にすっかり年老いてしまいましたよ。丁度あの岸に生えている年季の入った立派な松の様に。)と毎年春を待ち侘びて居る間に、すっかり年を食ってしまったと詠んだ歌。 
 こ                                   
来し間に;ずっと…過ごしていた内に。カ変動詞「来」の未然形「来」に過去の助動詞「き」の連体形「し」、時を表す意の名詞「間」に時を指定する格助詞「に」。

にける;…てしまったことだ。…ていたのだった。完了の助動詞「ぬ」の連用形「に」に過去の助動詞「けり」の連体形「ける」の付いた形。何かに気付いたことや詠嘆の意を表す。

65
(吹上の浜に見えている白菊は、花が咲いているのだろうか、それとも寄せた波の波の花が散って白菊の様に見えているだけなのだろうか。)との意。
白菊は白髪となった自分自身、人生の終焉に当り花は咲かせられただろうか、ただ皴が寄ってしまっただけなのだろうか、との思いを込めて詠んだ歌。
あきかぜ      ふきあげ
秋風の;枕詞。「吹上の浜」に掛かる。
なみ はな         しぶき
波の花;波の白い泡や飛沫を花に例えていう語。晩秋から冬の沿岸に見られる波の白い泡の塊。砕けた磯波が強い季節風を受けて泡状に湧き立つ物。



そせいほうし へんじょう                       よしよりのあそん
素性法師;遍照の子、出家して雲林院に住み歌僧となる。またの名を良因朝臣とも云う。平安時代前期の歌僧で三十六歌仙の一人。出家前は清和天皇(850~880・在位858~876)に仕えていた。


きたやま
姫松;松。姫は美称の意。「住江の岸の姫松人ならば 幾世か経しと問はまし物を(住江の川岸に在る松の木は、人に喩えたならば何世代を過ごしたのかと問うていたのになあ。)」(古今和歌集・雑)


はま                                          さいが
浜;吹上の浜(歌枕)。現在の和歌山市に有る地で、紀ノ川河口の湊から雑賀に至る浜。風が砂や物を噴き上げる浜の意。

「秋風の吹き上げに立てる白菊は 花かあらぬか浪のよするか(秋風の吹き上げて来る吹上の浜に現れる白菊は、花か花でないのか、それとも寄せる白波の飛沫だろうか)」(古今和歌集・秋)





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